納税者の方から相続税の申告書の作成依頼を受けた時に、「後日、税務調査がないようにお願いします。」と言われることがあります。ぶっちゃけて言うと、「適正な申告であれば、調査はありません。」とお答えしますが、絶対に税務調査が来ないようにする方法は「適正申告」以外にはありません。
但し、税務調査が来にくくする方法はあります。それが表題の「税理士法第33条の2第1項に規定された書面添付制度」の利用です。この制度の書面を添付して提出された申告書については、税務調査の前に「税理士に対する意見聴取」が行われます。意見聴取では、税理士が申告書を作成するのにどこまで内容を確認しているか等の聴き取りが行われます。その意見聴取の結果、税務署が疑問に思っている事項が解決すれば調査着手はなくなります。調査前に一度、関与した税理士と税務署が話し合う機会(税理士が防波堤となる)が与えられるのがこの書面添付制度のメリットです。
この「意見聴取」の場が税理士の腕の見せ所でもあります。税務署が何を疑問点としてしているかを知ることができる機会だからです。当事務所は相続税調査を熟知しておりますので税務署の疑問点にはすぐに対応できると思います。しかし、税理士が知らなかった事実関係の問題点であれば税務署は調査を行うことができます。
税理士は、相続人の方から頂いたお話の内容や資料等に基づいて「適正な申告の作成」に努めます。この書面添付に記載される内容は、申告書を作成した税理士自身が、計算し、整理し、相談に応じた事項であり、具体的にどのように関与しているかの詳細を記載します。ただし、税理士の関与程度と確認事項を開示して申告書の適正性を表明するものですので、申告書の内容を全面的に保証するものではありません。(税理士が知らなかった事実関係の問題点があった場合など)この点だけはご注意(ご理解)してこの制度を利用して頂きたいと思います。
知り合いの税理士さんから講師を頼まれて、一度は断ったのですが良い経験になると思い講師依頼をうけ、今月25日(土)に神戸市勤労会館において近畿青年税理士連盟兵庫県支部主催の資産税関係(相続税・贈与税など)研修会の講師をしてきました。
研修会は「税務署OB税理士に聞く!資産税の裏側」と題して、「Q&A形式」で説明しました。大勢の人の前で話するのは苦手なのですが、研修に参加された税理士の方々が熱心に私の話を聞いてくれたので説明にも熱が入りました。
研修会が無事に終了し、「とても参考になりました」と参加された税理士の方々から言っていただいたときは、参加された方々に少しでも参考になればよいと思っていたのでとても嬉しく思いました。また、研修に参加された税理士の方々が資産税関係(相続税・贈与税など)に関して興味を強く持っていること、及び、国税当局(税務署)がどのように考えているのかという点に強い関心があることを実感しました。
私は、税務署OBの相続税専門の税理士事務所として業務をしていますが、他の税理士の方々については資産税関係(相続税・贈与税など)業務が苦手な人が多いと聞いています。来年の相続税の基礎控除改正に伴い相続税の申告件数が増える見込みです。当事務所は、税務署の調査手法を熟知しており税務調査の対応にも自信がありますので、ぜひ相続税の申告・ご相談等がありましたらご連絡ください。よろしくお願いいたします。
現在、色々なHPや書籍において、毎年100万円づつ10年間贈与した場合、税務署から定期贈与(連年贈与)とみなされて100万円×10年=1000万円を一括で贈与されたものとして贈与税を課税される可能性があるので注意するよう書かれています。
上記のような事例の場合について、もし、税務署が定期贈与(連年贈与)として課税するためには、「1000万円を毎年100万円づつ10年にわけて贈与する」旨の贈与契約書等の書面の存在が必要です。
毎年100万円を贈与する贈与契約書を毎年作成(締結)して保存しておけば、税務署から定期贈与(連年贈与)として指摘されることはありません。また、毎年同時期同額の贈与であってもその都度贈与契約書を作成して、毎年の贈与が有効に成立していることを証明できれば、毎年、贈与金額や贈与日をを少しずつ変更する必要もありません。
相続税の節税方法として最もポピュラーな方法が、贈与税の基礎控除110万円(暦年課税)を活用した生前贈与です。毎年110万円以内の贈与であれば贈与税は課税されませんし、贈与税の申告も不要です。せっかく毎年続けてきた生前贈与が税務調査で否認されないためには下記の事項について注意をしてください。
1.贈与契約書を毎回(毎年)作成しておくこと。(作成日付、贈与者及び受贈者の署名押印のあるもの)
2.贈与を受けた者(受贈者)が贈与の事実を認識していること。
3.贈与を受けた者(受贈者)が贈与された財産(預金通帳、通帳印)を管理し、自由に使えるようになっていること。
4.贈与税の申告書を税務署に提出しておくこと。
税務調査でも、これらの事項を総合的にみて贈与が有効に成立していたかどうかを判断します。参考にしてください。
生命保険は、①争続対策、②節税対策、③納税対策の全てに活用できます。
生命保険(死亡保険金)の特徴としては、
1.亡くなった時に現金(保険金)を受取ることができる。(納税資金を確保)
2.受取人を指定することができ、法定相続分とは別扱いになる。(特定の相続人に多めに財産を残すことができ、また、相続人以外の人に財産を残すことも可能である。)
3.相続人が取得した場合に非課税枠(500万円×法定相続人の数)の適用がある。(預貯金等で保有している場合に比べて非課税枠相当額が課税対象外となる節税効果がある。)
ただし、生命保険を活用した相続対策には契約形態によって、課税される税金の種類や効果が異なるので注意が必要です。必ず、専門家(税理士)に相談した上で活用するようにしてください。
平成25年度の税制改正において、「相続税の小規模宅地等の特例の見直し」がされました。 その改正項目は次の4項目となっています。 ①特定居住用宅地等に係る適用対象面積が330㎡(改正前240㎡)までの部分に拡充されました。 ②特例対象とする宅地等の全てが特定事業用等宅地等及び特定居住用宅地等である場合には、それぞれの適用対象面積まで適用可能とされました。(改正前は最大で400㎡が改正後は最大730㎡となった。) ③二世帯住宅について、構造上の要件が撤廃された。(完全分離独立型でも同居として認めるとされた。) ④被相続人が老人ホームに入所したことによる被相続人が住んでいた家屋の敷地は、次の要件が満たす場合に限り、相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていたものとして特例の適用対象とする。(1)被相続人に介護が必要なため入所したものであること。(2)その家屋が貸付け等の用途に供されていないこと。 なお、これらの改正項目の適用開始時期は、①と②については平成27年1月1日以後の相続からの適用で、③と④については平成26年1月1日以後の相続からの適用となっています。 従来から相続税の申告における小規模宅地等の特例適用の判断はとても重要でしたが、今後は改正事項や適用時期を踏まえた上での判断が必要となります。
7月15日に大阪で近税正風会主催の夏の研修会があり、参加してきました。
第一部は、「丁寧を武器にした経営哲学」と題して、小山ロールで有名なパティシエ・エス・コヤマの小山進さんの講演でした。さすがは、成功されている方は考え方が違うと感動しました。一番心に残った言葉は「中途半端が一番悪い、自分が決めたことはとことんやる」というものでした。これからの仕事の姿勢に役立てていきたいと思います。
第二部は、「ゼロからの相続税申告の実務」と題して、神戸の相続税専門である近江税理士さんの講演でした。数多くの相続税申告をされている実績からご自分のノウハウを資料を使い説明をしていただきました。まず、一番に驚いたのが、関与した多くの申告のうち税務調査がある割合が全体の約8%いう少なさという点です。今回の研修を受けて、相続税の調査担当(税務署のOB)だった私が感じたことは、やはり税務署と同じ観点から分析等行い申告を作成していれば税務調査に来る割合が少ないということでした。税務調査を担当してきた私からすると、近江税理士さんは、相続税の申告に関与されている税理士のなかでも数少ない優秀な税理士だと思います。これから自分も元国税調査官の経験をフルに活かしてお客様のためにできるかぎり相続税申告等のお手伝いをしていきたいと思っています。当事務所の一番のセールスポイントが、「税務調査のノウハウを熟知していること」、「調査の実績にも自信があること」ですので、相続税申告等のご相談があれば、ぜひ中田昭二税理士事務所までご依頼ください。お待ちしております。
夫婦、親子、又は兄弟姉妹等の親族の間では、お互いに扶養する義務があります。(民法877)
そこで、このような扶養義務者相互の間で、生活費又は教育費に充てるために財産の贈与があった場合には、その取得財産のうち、生活費又は教育費として通常必要と認められる範囲のものに対しては、贈与税は課税されません。
ただし、この非課税の規定の適用があるのは、生活費又は教育費として「必要な都度、直接これらの用に充てるための贈与」に限られています。例えば、贈与を受けた金額の全額を生活費等に使い切らずに一部を貯金した場合には、その貯金した金額については贈与税の課税対象となりますので注意が必要です。
また、この生活費や教育費の贈与税の非課税規定は、H25年度の税制改正にてできた「教育資金の一括贈与に係る非課税制度」(H25年4月1日からH27年12月31日までに、30歳未満の子や孫へ授業料等の教育資金を一括贈与した場合に最高1500万円まで贈与税が非課税となる制度)とは別で元々ある規定で、申告の手続きは不要ですので、手続きが必要な「教育資金の一括贈与に係る非課税制度」の利用を考えておられる方は一度どちらの規定を使うか検討をしてみてはと思います。
相続税の税務調査は、税務署に提出された相続税申告の約3割について実地調査(相続人に直接会って調査等を行うもの)が行われます。そして、そのうちの約8割について申告漏れ等の指摘を受けて修正申告を提出等しています。
税務調査があった場合、税務当局(税務署及び国税局)からの指摘事項の全てについて「税務当局から指摘されたから仕方がない」と修正申告する場合がありますが、実際に税務調査を行ってきた私から言わせていただくと、指摘事項の全部について修正する必要はない場合がたくさんあります。
税務当局は、いわゆるグレーゾーン(課税できるか明らかでないが問題があると思われる事項)についても遠慮なく指摘してきます。しかし、本来その指摘事項については「課税するための根拠(証拠)」が明らかでなければ課税処理(更正処分等)ができません。(そのため、グレーゾーンについては修正する必要はないのです。)
そこで税務調査についての対応の経験が豊富であり、税務当局の課税できる範囲を適切に見極められる知識や経験のある税理士に依頼することが大切になってきます。税理士によって調査結果等による税金の金額が大きく変わる場合があるのはこのような理由からです。
当事務所では、元国税調査官としての知識や経験(税務当局の考え方等を熟知)からお客様のために適切なアドバイスを提供したいと思っております。ぜひ、相続税や税務調査についてご相談があれば相続税専門の税理士事務所(中田昭二税理士事務所 姫路市岡町47-7-205 079-228-2323)までお気軽にご連絡ください。
国税庁が発表した「平成25年分贈与税の確定申告状況について」によると、贈与税の申告書を提出した人は前年(平成24年分)と比べて12.6%(55,000人増加)しています。
贈与税の申告書を提出した人のうち、暦年課税を適用した申告人数は43万9千人で24年分から4万9千人増加しています。相続時精算課税を適用した申告人数は5万2千人で24年分から6千人増加しています。
この結果から判断すると、平成27年1月からの相続税の改正を受け、その相続税の対策等の一環で贈与税の申告が増えていることが推測できます。
相続税の対策等については、できるだけ早期に検討を行い、余裕を持って対策を実行していくことが望ましいです。相続税の対策等のご相談は、ぜひ相続税専門(元国税調査官)の中田昭二税理士事務所(姫路市岡町47-7-205 079-228-2323)までご連絡ください。
平成25年度の税制改正により、相続税及び租税特別措置法の一部が改正されました。平成27年1月1日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用される主な改正事項は次のとおりです。
①遺産に係る基礎控除額が引き下げられます。
②最高税率の引き上げなど税率構造が変わります。
③未成年者控除や障害者控除の控除額が引き上げられます。
④小規模宅地等の特例の適用対象となる宅地等の面積等が変わります。
これらの中で最も大きな改正事項は①の基礎控除額の引き下げになります。
改正前の基礎控除額の計算式は、「5000万円+(1000万円×法定相続人の人数)」でしたが、改正後の計算式は、「3000万円+(600万円×法定相続人の人数)」となります。(4割減少しています。)
この改正によって、今までは相続税の申告が不要であった方が平成27年1月1日以後の相続等で必要になる場合があります。相続税の申告期限は相続開始から10ヶ月以内ですので、期限が近づいてから慌てることのないように、できるだけ早くから相続税対策等の検討をしておくことをお勧めします。